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<おすすめ漫画>大人に読んでほしいファンタジー恋愛[僕と魔女についての備忘録]レビュー

 

 

[僕と魔女についての備忘録]は、少年と魔女の時を超えた絆をテーマにした漫画です。

魔女と使い魔の黒猫・蛍と共に暮らす少年・渉の日常が描かれています。物語は渉が遺した、備忘録を魔女が読み始めるところから始まります。魔女と渉、そして蛍の2人と1匹の暮らしを通した優しくも切ない、ファンタジー恋愛です。今回の記事では、この心温まる物語の魅力やテーマについて詳しく紹介し、おすすめしたいと思います。

 

[僕と魔女についての備忘録]

− 作者:三つ葉優雨

− ジャンル:ファンタジー・恋愛

− 巻数:1〜5(完結)

あらすじ

主人公・渉は幼少期にとある森で魔女に拾われる。その日以降”魔女さん”と、使い魔の猫・蛍と一緒に暮らし始めた渉は、この愛おしい時間をずっと忘れないために備忘録を残していく。

 

キャラクター紹介

− 渉

幼少期に森の中で魔女に拾われ、魔女さんと蛍と一緒に暮らすようになった。癖っ毛と丸い目をした少年。魔女さんや蛍には”坊”と呼ばれている。”忘れたくないこと”を備忘録として残している。

− 魔女さん

100歳越えの魔女。見た目は若く、黒髪ロングで切長めな目が美しい。住んでいる森の中で渉を拾った。天然で穏やか。坊に対して愛情深く接する。

− 蛍

魔女さんの使い魔の黒猫。ほわっとしている魔女さんに代わって、渉に色々なことを教えてくれる、博識な猫。渉の良き相談相手。

 

ファンタジーなのに身近に感じる舞台設定

[僕と魔女についての備忘録]は、渉と100歳超えの魔女さんとの恋愛をテーマにした、心温まる物語です。日本に実在していそうな”鴇森”という舞台と”魔法”というファンタジーが、絶妙に交差しているのも魅力。

登場する学校や風景は見慣れた日本そのもの。でも、渉や魔女さん、蛍が暮らしている家は西洋風で日本ではないみたい。そのありそうでなさそうな感じが、よりリアリティを感じさせてくれ、物語に入り込んでいけるのではないかと思います。

この渉たちが住んでいる家の設定が単行本内で紹介されており、三つ葉先生が建築家さんに家の構造を依頼して設計したとのこと。とても細かくリアルな設定がされているからこそ、複雑そうな印象の西洋館でも違和感なくストーリーが展開されているのだと分かります。ファンにはありがたすぎる裏話です。

また、ファンタジー要素の強い(と感じた)シーンは”魔法集会”。名前の通り、数年に1度開かれている魔法使いたちの集いです。出てくる魔法使いたちの服装もなのですが、床の模様やカーテン、調度品たちが、日常のシーンとはうってかわって”魔法の世界”感が溢れ出ていて、奇しくも美しさもあるこのシーンの世界観にも惹きつけられます。

 

愛おしすぎるキャラクターたち

先ほど登場人物の紹介をしましたが、もう少し深掘りしてキャラクターたちの魅力をお伝えしたいと思います。

まずは魔女さん。

登場シーンのビジュアルが黒いとんがり帽子に黒いワンピースという、絵本に出てきそうなザ・魔女な服装。そして色白(に見える)肌に、どことなく物憂げな目が印象的な見た目をしています。(このビジュアルがたまらなく可愛い)100歳超えという年齢の割に、素直で無邪気で、あどけなさのある行動がなんとも可愛らしい、”魔女さん”という呼ばれ方がぴったりなキャラクターです。

そんな魔女さんが坊(渉)を見る目やかける言葉たち、対応には愛情が溢れ出ており、その様子から坊をいかに大切に想っているかが伝わってきます。この物語を執筆中、三つ葉先生は子育て真っ最中だったそう。だからこそ、魔女さんの坊への関わり方や坊の可愛らしさが暖かく、より魅力的に描かれているのではないでしょうか。

坊を拾った時点で100歳超えだった魔女さん。見た目はとても若く、それだけで人間ではない感がありますが、物語が進むにつれ、魔女さんの見た目にも変化が現れてきます。それだけ長い時間を渉と過ごしたことが分かり、それもまた感慨深さが生まれます。

続いて坊。

渉という名前ですが、”坊”ってなんて素敵な呼ばれ方💭

坊はいつでも真っ直ぐで純粋。成長と共に年頃の悩みを抱える坊の様子は、こちらが親目線で見守っているようで微笑ましいです。そんな坊は一貫して魔女さんとずっと一緒にいることを願っています。一途すぎる。この一途さの理由がわかった時は涙すること必至です。

この坊を取り巻く人間関係は、穏やかなだけではありません。リアルで共感できるような問題が発生します。それでもあまり動じない(ように見える)坊。それは坊の世界の中心が常に魔女さんだから。優しすぎるほど優しく、穏やかでありながら、ブレない芯をもっているのが坊の魅力です。

そして蛍。

坊にとっては兄であり、父であり、祖父であり、先生。達観しすぎている猫です。蛍が坊にかける言葉たちは、子どもの坊に宛てたものでありますが、大人の心にも沁みる暖かさであり、教訓にもなります。

どちらかというとぼんやりしている魔女さんと対照的にしっかり博識な蛍。このコンビのバランスの良さがまたキャラクターたちの掛け合いのテンポやバランスの良さにも繋がっています。

 

メインのこの2人と1匹が魅力的なのはもちろんですが、他の登場人物たちも暖かい、最高のキャラクターたちです。それぞれのセリフの暖かさ、丁寧さで心が洗われます。

 

電子版限定でプロローグが掲載

坊の備忘録を読み返すところから始まる物語は、坊の小学校時代からスタートします。1巻の電子版限定のプロローグはその数年前のお話です。幼い坊と魔女さん、蛍の日常の一コマですが、愛おしさが溢れるストーリーです。2巻以降も、電子版限定のサイドストーリーが掲載されています。

ただ、三つ葉先生の繊細で美しい絵は紙でも読みたい…管理人は電子書籍で読みましたが、紙の単行本も揃える予定です。

 

大人に読んで欲しい恋愛漫画

坊の遺した備忘録から始まり、ストーリーの終わりは何となく予想がつくという切なさもある始まり方ですが、読み進めながら、坊と魔女さんそして蛍が冒頭のシーンに至るまでにどのような日々を過ごしたのかを知っていくというお話です。

坊と魔女さんがお互いを大事に想い続ける様子が見守る側としても愛おしく、とても暖かい気持ちにしてくれます。王道の恋愛漫画のようにキラキラした恋愛とは違う面白さをぜひ体験してみてください。

 

以上、三つ葉優雨先生の[僕と魔女についての備忘録]レビューでした。

気になった方はぜひ呼んでみてください💭